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同性同士の妊娠出産01~命の種とホムンクルス。近未来における生命倫理のための基礎教養~

はじめに

現実世界では生命科学の進歩によって精子の製造が実現しました。 まだ動物実験までしか行われていませんが、実際に出産にまでこぎつけています。

ES細胞やiPS細胞から精子を作り、マウスを誕生させた理由 (斎藤 通紀) | Nature ダイジェスト | Nature Portfolio

最初の実験から10年以上経った現在では、この研究は人間にも応用できるとされています。
コストと倫理を考慮しなければ女性同士の生殖活動が理論上は可能なのだそうです。
もはや女性だけの百合世界の実現は秒読みの段階となってきました。

さらに、最近の研究では男性同士での子作りまでが現実的な段階にまで視野に入ってきました。

精子だけで赤ちゃんができる? 英大学で研究進む - BBCニュース

このような技術的な視点から、近未来では同性同士で子供を作ることが可能になっていると思われます。

『桜Trick』という漫画作品に
「男の子は男の子同士で、女の子は女の子同士で恋愛すればいいと思うの」
という有名なセリフがあります。

このセリフは異性間での妊娠出産しかできない現在ではガチ百合作品で主人公が放ったクレイジーサイコな問題発言だとされていますが、
同性同士で子孫を残すことができる世界が近づいている昨今ではもっと真剣に咀嚼しなければなりません。

同性同士でも子孫を残すことができるのに、なぜ異性間で恋愛しなければいけないの?
必要ないよね?

という、今まで当たり前だった生命の尊厳に関わる根本的な提言であるからです。

来るべき未来に備えて今のうちに思考を整理しておきましょう。
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生命の根源について

1.種付けの根底にあるもの

異性間での子作りのことを隠語で「種付け」と言います。
男性が吐き出す「種子」を女性に植え付ける様子を表す言葉です。
新しい言葉な上にあまり行儀のよい言葉ではないので日常生活では使いませんが、子作りというものを考える時には避けては通れません。
この言葉が広く使われるようになった文化的な土台が存在するからです。

さて、種付けという言葉を人間に用いる時、男性が種だとすれば女性の役目は何でしょうか?
模範解答は複数ありますが、おそらく一般的には「大地」が最も多くの答えとなるでしょう。

「女性は大地」という考え方は世界各地でよく見られるものです。
西洋では大地を司る神が女神だったりします。

大地は植物や動物で満ちています。
目に見えるそれらのほとんどは雄と雌に分かれ、種付けによって子孫を宿し、世代が続いていきます。

有史以来、人間は多くの生命を絶えることなく観察してきました。 その過程で得られた大きな成果として「無から有は生まれない」というものがあります。

では、植物の雄株と雌株、動物の雄と雌における「無」と「有」とは何なのでしょうか?

植物も動物も大地の上で繁栄します。
しかし大地だけでは子孫は生まれません。
子孫を作るには「種」が必要不可欠です。
「大地」に「種」を蒔くことで生命は芽吹きます。
そして「有」が発生します。

つまり生命の根幹は雄の「種」にあるのです。

この考え方は人間にも適用され、男性こそが人間を生み出す源とみなされてきました。

現代科学とは全く異なる考え方ですが、この考え方は人類史の多くを長らく席巻してきました。

2. ホムンクルスの材料に精子が必須な理由

話題は変わりますが、「ホムンクルス」というものをご存じでしょうか?
オタクの間では常識となっている概念です。

ホムンクルスが出てくる作品は最近の流行りだと『Fate』シリーズがもっとも有名かと。
Fateは派生がたくさんあるので初めての方にはとっつきにくいです。 本テーマ的にはFateの源流である『Fate/stay night のHeaven's Feelルート』を嗜んでおけばよいと思います。
Fate/stay night Heaven's Feel

ホムンクルスとは、大雑把に言うと「現代科学以前の知識で作られた人造人間」のことです。
この現代科学というのがどこまでを指すのかは諸説ありますが、
本記事では「1996年7月5日以降」と定義します。
これはクローン羊のドリーが産まれた日です。
しっかりと世間に古典的なホムンクルスの製造が不可能と知らしめた日でもあります。

古来より、錬金術師が人造人間ホムンクルスを作る際には男性の「精液」が必要であるとされてきました。
先にも述べたように人間の根幹は男性が吐き出す「種子」であると考えられており、人工的に人間を作るにはもってこいの素材だったのです。
すぐに手に入りますし。

現代科学では「種」と「卵」のどちらが生物の発生にとって必須なのかと言えば「卵」なので全く逆の発想です。

精液が必要な理由には現代で見るとさらに魔術的な部分もあるのですが長くなるので今回は割愛します。

3.同性同士の妊娠出産で産まれた子供はホムンクルスなのか?

最初に述べたように、技術の進歩によって女性同士、または男性同士での生殖が現実的な段階に入ってきました。

明らかに人為的な加工を施されて生まれた子供たちは、果たしてホムンクルスなのでしょうか?
子供たちは心身ともに人間としての機能を余すことなく有しているはずです。

過去の似た事例を見れば、試験管で人工授精を行ってから生まれた子供達は試験管ベビーと言われながらも、人権を付与され人間として扱われています。

この場合は精子と卵子の出会いを技術者が仲人しただけなので、割とすんなりと世間になじむことができました。

しかし同性同士の授精は技術者が仲人になるだけでは成立しません。
カップルの片側の精子、卵子、または細胞をいじらなければならないからです。

特に男性同士のカップルの生殖方法は精液を用いた古典的なホムンクルスの生成方法にも通じる部分があり、さらに子宮も用意しなければなりません。

様々な考え方が派生し、あらゆる意見が飛び交うのは明らかです。
簡単に答えが出るものではありません。

ただし本記事に限定するならば 「同性同士から生まれた子供はホムンクルスではない」 と断言できます。
先にホムンクルスの定義を「1996年7月5日以前の現代科学の知識で作られた人造人間」としたからです。

この定義に基づいて、本記事では「少なくともホムンクルスではない」と結論します。

終わりに

同性同士での妊娠出産は国や宗教、民族での考え方の差異が非常に広く、アニメやマンガで様々なパターンにこなれている日本以外では物凄く混乱すると思いました。

その賛否は置いておきますが、日本が規制をせずに同性同士での妊娠出産を認めれば将来的には同性家族の世界的な聖地となるはずです。
様々な同性同士の恋愛本が飛び交う日本に世界中のやおいや百合の愛好家から熱い視線を注がれている現状が、その証左と成り得るのではないでしょうか。

テーマ的に全年齢向けに書くのが大変でした。
まだまだ書ききれていないことが多々あるので続くかも?

それでは今回はこの辺りでお暇いたします。

でわでわ ノシ